生涯君ヲ愛ス



生涯君ヲ愛ス
「なに〜!?」 2階の毛利探偵事務所から、そんな大きな声がした 小五郎のその尋常じゃない声色に 3階でテレビを見ていたコナンも驚いて下に降りてきた 「許さんぞ!お前まだ高校生なんだぞ!」 「もうあと少しで卒業だよ」 蘭の口調も、それに負けず劣らずで言い返す 新一がいなくなって1年近くがたっていた 電話の回数が減り”待っていてほしい”という言葉さえも 真実味をおびなくなっていた頃 途方に暮れていた蘭を支え続けた人がいた ”新出先生” 「だからってお前、付き合うならまだしも結婚なんて」 コナンはウスウス気が付いていた。 蘭の気持ちにではなく、蘭の対する新出先生の気持ちに。 初めは、蘭が新一の事で新出先生に相談したのがきっかけだった いや、もしかすると新出先生の方はもっと以前から 蘭に対する気持ちを抱いていたのかもしれない 新出先生と電話をする蘭をコナンは何度も見ていたから そして、蘭の気持ちの変化に気付きはじめた時から コナンは蘭への電話を減らすようにしてきたのだ そしてそれだけではなく、『蘭自身の変化』にも気付いたから・・・。 「いいんじゃないの?」 2人の会話に割って入ったコナンは ドアにもたれて小五郎に視線を向けた 「コナン君!?」 蘭の驚きように、コナンは確かめるように目を伏せた 「どっかへ行っちゃたまま連絡もない新一兄ちゃんなんて待ってるより  いつも傍にいてくれる新出先生の方が幸せになれるにきまってんじゃん」 小学1年生の言葉とは思えない、でもうそじゃない 素直な言葉に、やがて蘭は瞳を潤ませた それを見たコナンは、確信したかのように息を漏らすと 蘭に向かって無邪気な笑顔で笑ってみせた 「僕、蘭ねーちゃんに幸せになってほしいもん」 「このガキ、生意気言いやがって」 怒り狂った小五郎に 蘭は、コナンの言葉に押されるような感じで言葉に力を込めて続ける 「私、先生と結婚するから!明日先生が挨拶にくるから  絶対に家にいてよね!  ・・・・・それに・・・・・それに  お腹の中には子供が・・・・・」 「・・・・・なに〜!?」 その衝撃的な言葉に、小五郎の怒りは最高潮に高ぶったのは言うまでもない そう、コナンが蘭から遠ざたった一番の理由がここにある  
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