生涯君ヲ愛ス



生涯君ヲ愛ス
「体調はどう?」 「あ、新出先生」 病室のベットの上で、自分の子供をいとおしそうに見つめながら 蘭はうれしそうに笑った 「ははは、もういいかげん”先生”はやめて下さい。  それに、もう蘭も”新出”なんだから」 「あ・・・、ついクセで・・」 結婚してもまだ慣れないというか 初々しいというか、そんな感じの2人 2人は顔を見合わせて笑い合った 「まだ握ったまま?」 新出先生の言葉に、蘭は少し表情を曇らせながら苦笑する 「・・・うん。一応調べてもらおうとはしたんだけど  手から離すと泣いちゃって・・・」 産まれた時、何故か右手に握り締められていた小さな石 「・・・・蘭、もしかして食べたりとか・・」 「してません!!」 新出先生の言葉をさえぎるように 蘭は少し不機嫌そうに怒る 「あはは、冗談だよ、冗談」 少し焦りながら、新出先生は笑った そのせいで、蘭の表情が少し柔らかくなる 「本当に気にいってるみたいで、調べてもらうのに手から取ったら  泣いちゃって、いくらあやしても泣き止まないのよ。  石を返したら泣き止んだけど・・・。」 心配そうに、子供の手元を見る蘭に、 新出先生はやさしく微笑むと 石の握られた小さな右手にいとおしそうに触れた 「きっと、この石はこの子を幸せにしてくれる石なんだよ  だから大切に、持たせておいてあげよう?」 その言葉に、蘭はうれしそうに笑うと 「うん。」 っと、目に涙を浮かべた ー私たちの子供ー ー私たちの天使ー 「幸せになろうな、この子と3人で」 蘭は深くうなずくと、そっと子供の頬に触れた 「幸せになろうね・・・・『愛』」 幸せになろうね 今度こそ
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